選挙区内の有権者に現金を配ったとして福島県警は26日、亀岡偉民・前衆院議員(69)=自民、当選5回=を公職選挙法違反(寄付の禁止)容疑で福島地検に書類送検した。捜査関係者への取材で分かった。県警は起訴を求める「厳重処分」の意見をつけた。亀岡氏は取材に応じていない。

 捜査関係者によると、亀岡氏は衆院選の公示直前の今年10月3~13日ごろ、選挙区である福島市と同県二本松市で開かれた六つの祭りに参加する二十数団体に対し5千円か1万円を渡し、計24万円を寄付した疑いがある。現金はのし袋に入れ、団体に所属していないにもかかわらず「会費」名目で本人名義や芸術文化支援団体の名義で渡したという。

 亀岡氏は自民党派閥の裏金事件で、政治資金パーティー還付金348万円を収支報告書に記載していなかったとして党幹事長による厳重注意を受けた。捜査関係者によると、寄付の原資が還付金かどうかは解明できていないという。

 県警は11月中旬、亀岡氏の自宅や事務所を捜索。資料や携帯を押収し、本人らに聴取するなどして捜査を進めていた。

 公選法では、政治家が選挙区内の個人や団体に金品を提供する「寄付行為」を禁じており、違反した場合の法定刑は1年以下の禁錮刑か30万円以下の罰金。仮に罰金刑が確定すると原則5年間、公民権が停止され、その間は選挙に立候補できなくなる。

 亀岡氏は自民党公認で立候補した2005年衆院選で初当選。これまでに文部科学副大臣や復興副大臣を務めた。福島1区で立候補した10月の衆院選では、それまで小選挙区で2回連続敗れたため比例重複立候補が認められず、立憲候補に敗れ落選した。高校時代は作新学院(宇都宮市)の野球部で江川卓投手(元巨人)とバッテリーを組み、甲子園に出場したことでも知られる。

 選挙区内の寄付をめぐっては、いずれも自民党衆院議員だった堀井学氏が香典や枕花を渡したとして、菅原一秀・元経済産業相が香典や祝儀を渡したとして、それぞれ罰金刑が確定している。

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