大スクリーンに浮かぶ鮮やかな宝物のデジタル画像=大阪市中央区の大阪歴史博物館

 はるかな天平の美を今に伝える奈良・正倉院の宝物たち。普段は限られた機会にガラス越しで眺めるしかない名品群を、五感でたっぷりと味わってもらおう。そんなユニークな企画が、大阪歴史博物館(大阪市中央区)で開催中の特別展「正倉院 THE SHOW」だ。体験型ならではの、目からウロコの再発見と出会いに満ちている。

 暗闇の空間で螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)が宙を舞い、極彩色の漆金薄絵盤(うるしきんぱくえのばん)が眼前に迫る。見る者は時空を超えて天平びとの世界に迷い込み、めくるめく光と色彩の洪水に我を忘れて酔いしれる。

 大スクリーンに映し出される高精細3Dデジタル映像は、肉眼で見えない細部まで、くっきりと。現代テクノロジーの粋を集めたデジタルデータは、かけがえのない人類遺産を未来へ伝える「記憶」でもある。

 正倉院宝物は奈良時代、聖武…

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