徳島県を東西に貫く吉野川の河川敷近くに、国内で初めてのスポーツ施設がある。

 テレビ番組で人気を博した障害物レース「SASUKE」に触発されて生まれたとされる「オブスタクルスポーツ」の国際基準を満たした常設公認コースだ。

 昨年11月下旬、徳島県吉野川市にあるこのコースに、忍者装束の家族連れらが続々と集まってきた。海外で「ニンジャレース」と呼ばれるのにちなんだイベントで、約1千人が詰めかけた。

ぶら下がる輪をつかんで進む「リング」に挑戦する人たち=2024年11月23日、徳島県吉野川市、森直由撮影

 左右にあるステップを斜め前へ跳んで進んだり、高さ約50センチのネットの下をくぐったり。フィニッシュは、ほぼ垂直に見える約4メートルの壁。この難関を一回でクリアできるかどうかが、最も盛り上がる見どころだ。

 同時にスタートした黒と青の忍者衣装の男性2人は、いずれも簡単にクリア。約100メートルにわたって続く12種類の障害物を59秒と1分2秒でゴールし、3秒差で青の忍者が勝利した。

 「お見事、忍者たちもしっかりとクリアをしました!」

 司会の女性がマイクで呼びかけると、会場から大きな拍手が起こった。

 「上半身の力や腕力などが必要で、かなりの体力を消耗する。タイムを縮めるために障害物を素早く攻略する技術が求められ、とても奥の深いスポーツだと思います」。徳島市でジムを経営し、月に10回以上もこのコースに挑戦するという白川知明さん(40)はこう語った。

 オブスタクルスポーツは2028年に開かれる米ロサンゼルス五輪で近代五種競技の一つとして採用される。日本オブスタクルスポーツ協会(JOSA)によると、競技人口は世界で約2千万人。国内では正確に把握されていないが、ロス五輪に向け競技者は増えるとみられている。

 では、なぜその第1号施設が、徳島にできたのか。

 JOSAが設立された23年…

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