焼き上がった作品を確認する井上萬二さん=2025年1月7日、佐賀県有田町南山丁

 佐賀県有田町の陶芸家で白磁の重要無形文化財保持者(人間国宝)の井上萬二さん(95)が7日、新年の初窯出しを行った。井上さんは今年、人間国宝の認定を受け30年の節目を迎え、3月に96歳になる年男。「記念すべき年に、健康第一にいく」などと抱負を語った。

 この日の朝、同町南山丁の窯元で、昨年暮れに火を入れた窯から、孫の祐希さん(36)の作品と合わせ約300点を取り出し、自身の花器や壺(つぼ)を手に取って出来栄えを確認した。ステンドグラスに着想を得た花器や鯉(こい)をかたどった文鎮など新たな試作品もあり、「アイデアはいくらでもある。それをこなす体力や時間が限られている」と話した。

 昨年は体調を崩した時期があったといい、「健康でないと何もできないとつくづく感じた。精進したい」。コロナ禍に作りためた作品もあり、節目の2025年は、全国で個展をできる限り開きたいと意欲をみせた。

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