第50期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は14日、挑戦権獲得まであと1勝に迫っていた井山裕太王座が余正麒八段に238手までで黒番中押し負けし、決着は21日の最終一斉対局に持ち越しとなった。
ここまで開幕から負けなしの6連勝と単独首位を走り、2敗の2位グループに星二つ差をつけていた井山にとって、本局は最終戦を待たず2期ぶりの挑戦権獲得が確定する一番だった。対する余は3勝3敗の打ち分けで、すでに挑戦の可能性はないもののリーグ残留も確定しており、結果を恐れず井山戦に臨むことができた。
井山は序盤にリードを奪ったが、自ら仕掛けた戦いから双方の石の生死が絡む難戦に突入。徐々に余が抜け出し、井山は懸命に粘るも最後は力尽きて投了した。
井山の負けにより、挑戦者レースは大詰めに来て混沌(こんとん)としてきた。井山はなお2位グループに星一つ差をつけており、21日の最終戦に勝てば通算7勝1敗で自力優勝が決まる。しかし負ければ6勝2敗となり、挑戦権のゆくえは同スコアの棋士とのプレーオフに持ち込まれる。
現在6勝2敗は、他に先んじてリーグ全日程を終えている福岡航太朗七段ただひとり。しかし、5勝2敗で最終戦に臨む芝野虎丸十段、許家元九段も並ぶ可能性がある。リーグ規定によると、全日程を終えて複数人が同星首位で並んだ場合、リーグ序列上位2人によるプレーオフで挑戦者を決する。
優勝争いに絡む上位4人の序列は、上から順に①芝野②井山③許④福岡。仮に全日程を終えて4人が6勝2敗で並べば、序列上位の芝野―井山のプレーオフとなる。
21日の最終一斉対局4局の組み合わせは次のとおり。
井山(6勝1敗)―広瀬優一七段(2勝5敗)▽芝野(5勝2敗)―村川大介九段(2勝5敗)▽許(5勝2敗)―山下敬吾九段(1勝6敗)▽余(4勝3敗)―関航太郎九段(1勝6敗)=広瀬、村川、山下、関はリーグ陥落が確定