亜細亜大の中国人研究者、范雲濤教授が昨年2月に中国に一時帰国した後、日本に戻らずに長期間休職していることが22日、わかった。現地で中国当局に拘束された可能性もある。
亜細亜大によると、范氏は昨年2月、本人の都合で一時帰国。その後、「病気療養に入る」と連絡があり、昨年4月以降、范氏の授業は代行を立てている。昨年8月に正式に休職扱いとなり、同10月には范氏側から海外での治療について医療費の手続きに関する書類が届いたという。日中関係筋によると、范氏が現時点で日本に戻ってきたことは確認されていないという。
同大のサイトなどによると、范氏は2006年に同大教授に就任した。都市創造学部に所属し、国際法学や政治学が専門。中国の環境エネルギー戦略や、日中貿易摩擦などを研究していた。学部生、大学院生の教育も担当していたという。
同日の会見で、記者から范氏の事案について問われた林芳正官房長官は、「長年にわたり我が国の大学において教職に就かれている方であり、人権にかかりうる事案であるため、関心を持って本件を注視している」と述べた。
日本の大学に所属する中国人研究者をめぐっては近年、一時帰国時に拘束されたり消息不明となったりするケースが相次いでいる。13年に東洋学園大の教授が一時帰国した際に拘束されたほか、16年には法政大の教授も拘束されたが、いずれもその後日本に戻った。19年には北海道教育大の教授が拘束されている(肩書はいずれも当時)。
今年3月には、神戸学院大の胡士雲教授が中国に帰国後、半年間連絡が取れなくなっていることが判明している。