幼いころ、友達が家に遊びに来た時に祖母が出してくれたおやつは、蒸した里芋だった。
恥ずかしくて、とっさに「プリンあったのにな~」とウソをついた。
友人たちが帰った後、祖母はからかうでも叱るでもなく「次はプリン買ってくるね」と言ってくれた。
寂しげで申し訳なさそうな顔を見て、胸が苦しくなったことを今も覚えている――。
枇杷(びわ)かな子さんが描くエッセー漫画には、かつて同居していた祖母がたびたび登場する。
幼い日の後悔や、大切にしてくれたことへの感謝を表現したくて筆をとったものばかり。
描いている時は、ちゃんと祖母と向き合えている感覚があり、何度も泣いてしまったという。
引き出しに入っていた手紙
数年前、枇杷さんが実家にあった学習机を自宅に持ってきた時のこと。
自分が使っていた机を娘にも使ってもらおうと掃除していたら、引き出しからノートが出てきた。
開いてみると、20年近く前に祖母からもらった手紙が、のりで貼り付けてあった。
この手紙を受け取ったのは…