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小田実さんの遺影をみつめる玄順恵さん=2008年、兵庫県西宮市

 兵庫県西宮市で阪神・淡路大震災を経験した歴史学者の五百旗頭真(いおきべまこと)と作家の小田実(まこと)。二人がいたことで、被災地の声が国を動かしていく。

 一つは被災者の生活再建支援。もう一つが創造的復興だ。

 2011年の東日本大震災で、五百旗頭は有識者の「復興構想会議」の議長に就任した。当時は防衛大学校長。民主党政権の菅直人首相に請われ、復興構想を示す重責を引き受けた。

 基本方針の一つに「単なる復旧でなく、創造的復興」を掲げ、高台移転や特区の活用などを提言した。「国民全体の連帯と分かち合い」を呼びかけ、復興増税にも道筋をつけた。

 議長代理として支えた東大名誉教授の御厨貴は、国の支援は復旧までとされた阪神・淡路の「恨みつらみ」を五百旗頭から聞いた。「阪神の時に思うように行かなかったことが、議長を引き受けた理由の一つにあったのでは」と話す。

 震災後、兵庫県知事を5期2…

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