南北軍事境界線を中心にした非武装地帯の韓国側フェンスを点検する韓国軍兵士=東亜日報提供

 北朝鮮が南北軍事境界線近くの自国側に地雷を敷設したり、対戦車用とされる防御壁を設置したりしています。北朝鮮との南北軍事協議に約50回出席した韓国陸軍の文聖黙(ムンソンムク)・元准将は、北朝鮮の動きについて「核・ミサイル開発に集中する環境を作り出すとともに、住民の脱北を防ぐ狙いがある」と指摘します。

 ――最近、北朝鮮は南北軍事境界線近くでどのような動きを見せているのでしょうか。

 北朝鮮軍は春ごろから、西部から東部までの前線に多数の兵力を投入しています。地雷の敷設や防御壁の設置のほか、非武装地帯に生い茂った樹木を伐採して視界を確保しています。のべ10人以上の北朝鮮軍兵士が一時的に南北軍事境界線を越えて南側に侵入する事態も起きました。

 境界線には200~300メートルの間隔で標識の杭がありますが、実際に線が引かれているわけではありません。韓国軍の警告放送と警告射撃により、北朝鮮軍兵士はすぐ北側に戻っていますから、韓国軍も偶発的に侵入した可能性が高いとみています。

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「北朝鮮に信頼関係を構築する考えはない」

 ――なぜ、北朝鮮はこうした動きを見せているのですか。

 金正恩(キムジョンウン)総…

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