経済交渉や停戦交渉から夫婦げんかにいたるまで、世の中は落としどころが見つからないことばかり。SNSなどを通して「自分は正しい」という思い込みが強まり、折り合うことがいっそう難しくなっている気もする。「おとしどころの見つけ方」の著者で、明治大学公共政策大学院専任教授の松浦正浩さんに話を聞いた。
強まる「自分は正しい」 譲歩が難しく
米トランプ政権の関税政策をめぐる交渉、ウクライナやガザでの戦争など、落としどころが見えない問題に世界は直面しています。一つ言えるのは、争いを続けていたら、互いにダメージが拡大するということ。
その認識は、私たちが身近な問題で落としどころを探る動機の一つと言えますが、今、そうした想像力が働きにくくなっていると感じます。
ソーシャルメディアのアルゴリズムは「自分は正しい」という思い込みを強めます。それが高じて、他者に譲歩することが難しくなっていないでしょうか。
「ダラーオークションゲーム」という実験があります。例えば、1ドル札を落札するため、2人が1セントから入札していき、高値で落札した方が1ドルをもらい、負けた方は自分が最後に入札した額を支払う。
互いに損をしたくないから…