端午の節句(5月5日)に着物姿の女将(おかみ)が一心不乱に菖蒲(しょうぶ)の葉で地面をたたく――。動画が数年前からSNSで話題になってきた「菖蒲打ち」を、今年は多くの人に体験してもらおうと女将が京の街をめぐる。その名も「京都100本菖蒲」だ。
4月末、京扇子の大西常商店(京都市下京区)の4代目女将、大西里枝さん(35)の自宅を訪ねると、2キロのダンベルを上げ下げしていた。菖蒲打ちに向けて肩をつくっているのだという。大西さんは「この方法が合っているかはわからへんのですけど……」と言うが、気合は十分だ。
菖蒲打ちとは何か。「日本玩具博物館」(兵庫県姫路市)の学芸員、尾崎織女さんによると、江戸時代の子どもたちが端午の節句に夢中になった遊びだという。菖蒲の葉を綱状に編み、地面に勢いよくたたきつける。大きな音を競ったり、ちぎれた方が負けというルールだったりしたようだ。明治時代を経て廃れたとされる。
「見学する人が引くほどすごい」
京都市で生まれ育った大西さ…