古都らしいみやびなスポットがまた誕生した。京都五花街の一つ、宮川町で100年以上にわたる「顔」だった歌舞練場(京都市東山区)が、建て替え工事を経て生まれ変わった。関係者を招いた開場式が23日あり、芸妓(げいこ)や舞妓(まいこ)らが華やかな祝いの舞を披露した。
新しい歌舞練場は、地上3階、地下2階建てで延べ床面積は約5千平方メートル。世界的な建築家・隈研吾さんがデザインを監修し、歴史的な街並みに溶け込む外観が目をひく。
483の客席を持ち宮川町の紋章にちなみ「三ツ輪座」と名づけられた劇場は、舞台自体に見どころが多い。
正面の唐破風(からはふ)の欄間は重厚で絢爛(けんらん)。大正時代のものを丁寧に修復したという。緞帳(どんちょう)は古都の春と秋などがあらわされていて、芸妓、舞妓の公演などに彩りをそえる。劇場の上階には多目的に使える会議室「花心庵」を設けた。「花街の心」という意味がこもる。
旧歌舞練場は1916(大正5)年に建てられ、芸妓や舞妓による春の公演「京おどり」などに使われてきた。改築も経てきたが老朽化などが課題で、2022年に建て替え工事に着手していた。
この日の開場式では、所有する学校法人東山女子学園の大石美千代理事長が、「現代的な歌舞練場に生まれ変わることができました」。文化庁の都倉俊一長官は、「晴れの舞台でますます芸を磨いて、日本の文化を世界じゅうに伝えていただきたい」と述べた。
新しい歌舞練場では今年11月、こけら落としの公演が予定されている。