京都府埋蔵文化財調査研究センターは22日、京丹後市大宮町の幾坂(いくさか)古墳群40号墳(5世紀初頭)から漆塗り革盾2点が出土したと発表した。丹後では初の発見で、2点同時の出土は府内初。うち1点は文様が分かるほど漆の残存状態が良いという。
当時の盾は木枠に革を張り、表面に漆が塗られていた。出土した革盾はいずれも木枠や革が腐っていたが、うち1点は幅約55センチ、長さ132センチの範囲で黒漆の皮膜が残っていた。
40号墳には3基の墓坑があり、2点の盾は最も大きい墓坑から出土した。木棺上に置かれていたとみられる。盾には魔よけの意味がある鋸歯(きょし)文や菱形(ひしがた)文が施されていたことから、被葬者を邪悪なものから守る役割だったとみられる。
古墳時代の革盾の出土は全国で50例ほどで、畿内中枢部に集中している。センターの高野陽子係長は「被葬者は畿内の政権とかかわりが深く、古墳のある中郡盆地一帯を支配していた首長ではないか」と話している。
調査は3年前だったが、古墳が山頂にあるため搬出方法を検討してきた。周囲の土ごと固めて三つに切り分け、ヘリコプターで搬出する。
幾坂40号墳は古墳時代中期前葉で、墳丘自体は大きく崩れているが、円墳の可能性がある。盾以外には剣や刀などの鉄製武具類や玉なども見つかった。
今回の出土についての成果報告会が9月7日、大宮町のアグリセンター大宮で午後1時半から開かれる。(滝川直広)