京都の春を彩る祇園甲部の「都をどり」が150回目の節目を迎えた。京都博覧会に合わせて1872(明治5)年に始まり、戦中戦後とコロナ禍の一時期を除いて回数を積み重ねてきた。芸舞妓(げいまいこ)が伎芸(ぎげい)を学ぶ場で、「都をどり」を主催する八坂女紅場(にょこうば)学園(京都市東山区)の杉浦京子理事長と、京舞井上流五世家元で人間国宝の井上八千代さんに、これまでの歩みと魅力を語ってもらった。(聞き手・西田健作)
祇園甲部
京都五花街で最大の花街。京都市東山区にある。芸妓や舞妓がもてなすお茶屋でのお座敷に加えて、毎年春に祇園甲部歌舞練場で「都をどり」を開催している。公演期間は4月1日~30日(1日3公演)。問い合わせは祇園甲部歌舞会(075・541・3391)へ。
八坂女紅場学園の杉浦京子理事長
気が付けば150回。一見(いちげん)さんお断りのお座敷と違って、都をどりはどんな方でもご覧いただける。毎年楽しみにしてくださるお客さまの力と、芸事を生業(なりわい)として続けていきたいという芸妓や舞妓の気持ちが相まって、それが積み重なって節目を迎えることができました。
杉浦理事長
歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」に登場するお茶屋「一力亭」の女将も務める。
都をどりは京都博覧会の余興として始まりました。遷都でさびれた京都を活気づけるための博覧会を盛り上げるためでした。当時の知事さんから花街で何かできないかとお願いされたんです。「一力亭」の九代目当主が三世井上八千代さんと相談し、少人数の座敷舞と違って芸舞妓が一斉に舞う「総をどり」を作りました。伊勢・古市の「亀の子踊り」をお手本にしたそうです。
「相変わりませず」を大切に
毎年中身は変わりますが、全…