京都市は8日、JR京都駅の東南部にある東九条地域に現代美術家・村上隆さんの制作スタジオが建設されることになったと発表した。村上さんが代表を務めるアート制作会社「カイカイキキ」(東京都)に市有地を売却する。
市有地は九条通沿いにある約1500平方メートルの空き地(南区東九条南河原町)で、売却額は3億630万円の見込み。スタジオは地上3階建てで2026年度に完成する予定だ。村上さんの作品などを制作する拠点となり、一般の人が入場できるギャラリーなどの空間を設ける予定はないという。
市が昨年12月から買い取りを希望する事業者を公募していた。今年3月、大学教授らによる選定委員会でカイカイキキが選ばれた。
スタジオでは50人のスタッフが働き、うち半数は市立芸術大をはじめとする市内の芸術系大学や専門学校などを中心に採用する方針だといい、雇用機会の創出につながる点が評価された。
カイカイキキが08年から埼玉県三芳町で200人規模のスタジオを運営していて安定した施設運営が期待できることや、村上さんが世界的アーティストとして国内外に大きな発信力を持つことなども選定の理由だという。
京都市は京都駅東南部を文化芸術の創造・発信の拠点とするべく、民間業者による市有地活用を進めている。今年秋にはアーティスト集団「チームラボ」のミュージアムも開業する。
松井孝治市長は8日の記者会見で「村上さんはいずれこのスタジオに制作拠点の重心を移し、若手アーティストの発掘や支援にも力を入れていきたいと聞いている。駅東南部エリアを文化芸術の拠点としてさらに発展させていきたい」と話した。