京都・清凉寺の「釈迦堂縁起」(第3巻、部分)。栴檀(せんだん)香木から釈迦の姿を写した像が彫られる場面=前期(8月3日まで)展示

 清凉寺(せいりょうじ、京都市右京区)が所蔵する重要文化財の絵巻「釈迦堂縁起」の約160年ぶりの修理が終わり、京都国立博物館(同市東山区)の特集展示で公開中だ。狩野派の2代目・狩野元信(1477?~1559)が手掛けたと伝わり、修理の過程で見つかった墨書から、全6巻の最後の巻にだけ絵がない理由も分かってきた。

本尊の由来を示す

 絵巻は長さ計約10メートル。寺の本尊「釈迦如来立像」(国宝)の由来や霊験などが描かれるが、料紙に多数の折れがあり、絵の具の剝落(はくらく)などが進む恐れがあった。2020~22年度に朝日新聞文化財団の助成などで修理され、折れを解消して汚れを取り除いたことで、色鮮やかな画面を鑑賞しやすくなったという。

 嵯峨釈迦堂の名でも知られる同寺の釈迦如来立像は、東大寺の僧が10世紀に中国・宋から持ち帰った仏像。鎌倉時代以降、釈迦の姿を写した霊像だとして、模像が全国各地で数多く作られるなど、絶大な信仰を集めた。

 1515年ごろの制作とみら…

共有
Exit mobile version