室町時代創建の禅寺・相国寺と塔頭(たっちゅう)の光源院(ともに京都市上京区)が9日まで特別公開されている。京都非公開文化財特別公開(京都古文化保存協会主催、朝日新聞社特別協力)の一環。普段は見ることができない数々の寺宝に親しめる。
相国寺は室町幕府3代将軍、足利義満が創建した。京都五山の一つだ。臨済宗相国寺派の大本山で、鹿苑寺(金閣寺)や慈照寺(銀閣寺)は山外塔頭だ。
特別公開では国重要文化財の法堂(はっとう)に入ることができる。1605年に豊臣秀頼の寄進で再建され、現存する法堂建築では最古という。釈迦(しゃか)三尊像が安置されている。
天井には狩野派の画家・狩野光信による「蟠龍図(ばんりゅうず)」が広がる。手をたたくと反響音が龍の鳴き声のように聞こえることから「鳴き龍」として知られる。
1807年に再建された方丈も公開されている。江戸時代に京都で活躍した原在中などのふすま絵や、表と裏の「方丈庭園」などを鑑賞できる。1596年再建の浴室も公開され、禅寺の修行の日常を想像できる。
光源院は室町幕府13代将軍、足利義輝の菩提(ぼだい)寺で、名前は義輝の院号にちなむ。「干支(えと)の寺」としても知られている。
今回、本堂では日本画家の故・水田慶泉さんが描いた12面のふすま絵「十二支の図」や、自然石で十二支を表現した庭などを見ることができる。荒木泰量副住職は「ご自身の干支を探していただければ」と参拝の楽しみを説く。
明治時代の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)で移築されたと伝わる行者堂も拝観できる。禅寺には珍しい修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)の像(神変大菩薩(ぼさつ)像)や、仕えた前鬼・後鬼の像などがまつられている。
拝観料は相国寺、光源院ともに大人1千円、中高生500円。詳細は協会ホームページ(http://www.kobunka.com)。問い合わせは協会(075・451・3313)。