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京都大会で記録員を務めた京都国際の嘉門翔太さん=2025年7月18日午前11時57分、わかさスタジアム京都、木子慎太郎撮影
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 第107回全国高校野球選手権大会は13日午前8時、京都国際が健大高崎(群馬)と初戦を迎える。記録員として仲間を支える「ダブル主将」の1人も対戦を心待ちにしている。

 8日の練習中、ひときわ大きな声がグラウンドに響いた。声の主は、京都国際の主将・嘉門翔太さん(3年)。右足首のけがで、今春の府大会からは記録員としてベンチに入り、声でチームを支えてきた。

 昨秋の府大会後、小牧憲継監督から「ダブル主将」の1人に指名された嘉門さん。就任当初は「優勝した次の代として、注目も責任も大きい。どうまとめればいいのか分からず不安だった」と振り返る。もう1人の主将・倉橋翔さん(3年)は「僕は周りを見るのが苦手。嘉門の視野の広さと冷静さは頼りになる」と信頼を寄せる。

 3月の練習試合で右足首を負傷し、春の府大会の途中から記録員に。迎えた夏の京都大会も、選手としての出場はかなわず、悔しさが募った。それでも家族から「けが人だからこそ、広い視野でチームを見られる」と助言を受け、前を向いた。試合中は声を出しつつ、状況を整理し、選手にアドバイスを送った。「みんなが全力を出せるよう、前向きな言葉がけを意識してきた」。劣勢でも仲間を鼓舞し続け、チームの甲子園出場に貢献した。

 昨夏は太鼓担当としてスタンドで全国制覇を見届けた。「甲子園では挑戦者の気持ちで、一戦ごとに成長したい」。背番号はなくても、嘉門さんは聖地で声を響かせる。

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