論説副主幹 山口進
自分の文章や思考が、どこか借り物のように感じられることはないでしょうか。あるいは、何かに倚(よ)りかかっているようで物足りないことはないでしょうか。主張が誰かの言うがままだったり、特定の立場から決めつける物の見方をしていたり。そんなわなに陥ることは、誰にでもありそうです。
少しでもそこから抜け出すヒントを、今回は探ってみましょう。
あるできごとやことがらについて考察する場合、抽象的に論を立てるだけでなく、ものごとを実際に動かしている人や、影響を与えている人に着目してみることが、一つの有力な作戦です。
そして、そこで重要になってくるのは、「その人の頭の中や心の内を、内在的に理解しようとする」ということです。
単純に共感したり同意したりするということではありません。なぜそのように行動するのか。なぜそう考えるのか。時代や環境などどんな前提条件があって、譲れない価値は何なのか――。様々な問いを立てながら自ら取材し、分析していく中で、見えてくるものがあるはずです。
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本人への接近が難しいときは…