今井通子さん

 身の回りから世界にいたるまで、話し合いで結論を出さなくてはならないことばかり。でも、そうそうすぱっと白黒つけられない。そんなときに、落としどころをどう見つけたらよいのだろう。登山家・医師の今井通子さんは、世界の山々で様々な決断に迫られたはず。長年、ラジオで人生相談も受けてきた。ヒントをもらいに話を聞きに行った。

 登山で、自然を相手に落としどころを見つけるのは割と簡単です。自分の体力、気力、技術が見合っているかを確かめればいい。

 人と人の場合はどうか。

 私は隊を作って登ることが多かったのですが、とるべき行動の落としどころは、スキルが最も低い人に合わせていました。

 高いレベルに合わせると、みな必死になってしまい、意外性のあるアイデアが生まれにくい。低いレベルに設定すると余力が生まれ、可能性が広がります。

 日ごろのコミュニケーションも大切です。チョモランマ(エベレスト)に挑んだ時のこと。頂上にアタックする2人に対して、隊長の私はキャンプ地から強風による中止を伝えました。

 ところが、うち1人が「僕だ…

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