特別展に展示されたオシラサマ=岩手県陸前高田市の市立博物館、三浦英之撮影

現場へ! 震災とオシラサマ(5)

 東日本大震災を経て、地域に伝わる民間信仰はどのように変化したのか――。

 1月25日、津波で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市の市立博物館で特別展「陸前高田のオシラサマはいま」が始まった。

 「女性たちが年に数度集って、家の神様に布を着せてアソバセル。昔の『女子会』だったのかもしれません」

 学芸員の佐々木翔さん(38)が説明すると、来館者たちから笑い声があがった。

 展示されたのは、市内の家々で保管されている38世帯分のオシラサマ計113体。

 2006年の調査では市内に106世帯計351体のオシラサマが存在していたが、今回の調査では、17世帯分計48体のオシラサマが津波で失われていた。特に気仙町地区の被害が大きく、所有20世帯のうち14世帯が流失していた。

 信仰の変化もみられた。震災後、所有者の転出や少子高齢化などで、オシラサマをまつり続けることが難しくなり、4世帯計12体が博物館に寄贈された。

 主任学芸員の熊谷賢(まさる)さん(58)は「津波でオシラサマが流失してしまったのは、とても残念。流失したオシラサマについては今後、過去に撮影した画像などで後世に伝えていきます」と説明した。

津波で流出、続く現地調査

 津波で被害を受けた宮城県気…

共有
Exit mobile version