校長らの昇任人事をめぐって、教員団体からの金品や推薦名簿の受け取りで揺れた名古屋市教育委員会事務局。外部の調査で明らかになったのは、教員の世界だけで通用する慣例やルールがはびこっていることだった。教育界の体質は変わるのか。
《(金品を)持っていくのが、ずっと慣例のように行われてきた。良いとかいかんとかではなくて、互助会って言ったらおかしいんですけど》
問題発覚後、市が立ち上げた「調査検証チーム」のヒアリングに、ある市教委幹部はこう述べた。渡す側も、もらう側も経験し、「人事をされる側」の教員団体と「する側」の市教委事務局の関係を「互助会」と証言した。
昨年8月に出た調査チームの最終報告書によると、金品授受は少なくとも20年くらい前には行われていた。受領額は2017年度以降で計約1312万円だった。最終報告書は、金品授受の慣習を「不適切な行為」と断じた上で、昇任人事が多段階、かつ複数の職員で検討されていたことを踏まえ、市教委事務局が推薦名簿に載った候補者を有利に取り扱うなどの不正が行われた可能性はほぼ排除される、と結論づけた。
座長を務めた元文部科学省審議官の寺脇研氏は、問題の本質は根深いとみる。市教委関係者が、「金をもらって人事を決めたわけではないので、もらわなくても結果は変わらなかった」という趣旨のことを話したのにあきれたという。寺脇氏は「今までの名古屋の教員人事は正しかったと彼らが言っても、金や名簿が介在したというのは正しい決め方ではなかった。そういうゆがんだ認識がいまだに染みついている」と指摘する。
金品授受が絡んだのは、教職…