神戸市の郊外問題について議論した内容を発表する神戸市外国語大学の学生=2024年7月16日、神戸市西区、真野啓太撮影

 連載「A-stories 8がけ社会とまちの未来」では、神戸市外国語大学(神戸市西区)で人口減少問題などを研究する中嶋圭介准教授のゼミと連携しました。連載で取り上げた各テーマをゼミ所属の3、4年生も議論し、「8がけ社会」の対応策や解決策を考えました。(議論の過程や7月16日の中嶋ゼミでの発表から記者がまとめました)

テーマ 神戸市の郊外は持続可能か

 神戸市の郊外エリアでは急速に人口減少が進む。スーパーが撤退し、市営バスが赤字路線を抱える。

 この先、高齢化がいっそう進む中で、地域の住民は生活し続けることができるのか。

 神戸の郊外問題を議論した学生6人は、いずれも神戸市外の出身だった。メンバーからはこんな声が上がった。

 「神戸は思っていたより田舎だった」

 神戸は市域が広く、北区の面積(約240平方キロ)だけで、大阪市全体の面積(約223平方キロ)を超える。特に西部や北部は農村や山地が多く、西区にある神戸市外国語大学の近辺にも緑が広がる。

 兵庫県丹波市出身の平田恋奈(ここな)さん(3年)は「人口密度がもともと低いのに、人口が減っていくと今まで以上に地域はスカスカになる」と指摘。空き家が引き起こす問題やインフラ維持、公共交通の課題などを話し合った末にたどりついたのが、駅前に都市機能を集約する「戦略的ダウンサイジング」だ。

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駅前で完結する街づくり 議論には葛藤も

 市中心部から西部・北部へと延びる鉄道網を生かす。生活に必要なサービスを駅前に集中させて集住の誘因を作り、徒歩で生活が完結する街を目指す。

 市営バスの不採算路線を廃止する一方で、民間のライドシェアサービスや電動キックボードといった代替サービスの誘致を目指す。民間の誘致策に課題は残るが、高知県佐川町出身の川村拓夢さん(3年)は、「使いたい人が使いたい時に使うことができるモデルの導入が解決策になる」と語った。

 駅周辺を「てこ入れ」する一方で、既存の交通網を縮小する議論に、ためらいや葛藤の声も出た。それでも、滋賀県草津市出身の寺地楓佳さん(4年)は「横暴かもしれないが、中途半端な転換では、将来的に誰も住まない地域になってしまう」と話した。

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