山形労働局長に答申する山形地方最低賃金審議会の本間佳子会長=2025年9月3日、山形市、斎藤徹撮影

 山形地方最低賃金審議会(会長=本間佳子弁護士)は3日、県内の最低賃金を現行の時給955円から77円引き上げ、1032円とするよう山形労働局長に答申した。前年度の引き上げ額55円を上回り、引き上げ率は8・06%。時給制となった2002年度以降で金額・率とも最高となり、初めて1千円を上回る。12月23日に効力が発生する。

 審議会は、最低賃金を決めるために各都道府県の労働局に設置されている。労使の代表と、弁護士や公認会計士ら「公益代表委員」で構成。現在は、労働者側の代表として連合山形や大手メーカーなどの労働組合役員ら、使用者側の代表として経済団体の役員らがメンバーになっている。最低賃金の額は国が示した目安や統計資料、地域経済の実情などをふまえて審議する。効力発生後、使用者は最低賃金を上回る賃金を労働者に支払う義務が生じる。

 審議会の最低賃金専門部会は、引き上げ額や発効日をめぐり話し合いを重ねてきた。今回は、使用者側と労働者側で見解に大きな隔たりがあり、通常の6回から8回に増やして議論。当初は8月26日に答申を予定していたが、まとまらず、2度延期する異例の事態となっていた。

 厚生労働省の中央最低賃金審議会は8月、47都道府県の経済情勢に応じてA~Cの3ランクで示し、山形をCランクとして、引き上げ額の目安をA・Bランクより1円高い64円とした。

 労働者側は「労働者の生活を維持していくためには、高騰を続ける物価を上回る賃上げが不可欠」と要求。これに対し使用者側は「中小・零細企業が多い山形では価格転嫁につなげられない事業者が多く、急激な賃上げは経営圧迫につながる」と主張していた。

使用者側「合意できるものでなかった」

 最終的には、公益側が「山形…

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