御杖村に設置された「トイレ休憩所」=2025年5月23日午後3時30分、奈良県御杖村桃俣、阪田隼人撮影

 山あいの小さな村に昨年作られた公衆トイレをめぐり、その是非がくすぶり続けている。取材を進めると、私たちにとって決して無関係とは言えない問題も浮かび上がってきた。

 「高額な費用から『1億円トイレ』と不名誉な名前をつけられた。完成から1年、御杖にどの程度貢献したのか」。6月5日、奈良県東部にある御杖村の議場で村議の一人は語気を強めた。

 人口約1300人の村に、公衆トイレが設置されたのは昨年2月のこと。三重県側へ通じる国道369号沿いに、車8台分の駐車場と男女1人ずつの個室が備えられた。

 ただ、その整備費用が問題となった。工事が進み完成間近になった頃、土地取得費を含めて約9500万円の事業費がかかることを知った一部の住民から「あまりに高すぎる」「維持費もかかり将来の負担になる」と批判の声があがった。

トイレの目的は

 国道沿いには他に既存のトイ…

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