Smiley face
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「小鉄とジュニア」の所作を見せる浪曲師の真山隼人

 大阪人なら誰もが知ってる、といわれる「じゃりン子チエ」を、真山隼人が浪曲に仕立てた。漫画誌に連載されていた時代を知らない若手にしては古典のようにやり慣れている。そのわけは?

 三重県鈴鹿市の出身だが、地元は関西圏だったという。「じゃりン子チエ」は漫画やアニメの再放送で、しっかり者チエと遊び人の父テツのドタバタ劇を楽しんだ。

 15歳で浪曲界に入り、世間の厳しさを知ったころたまたま読み直し、「チエちゃんが背伸びしながら大人の世界で奮闘する様子が、自分にぴったり。同じような苦労してるな」と感じた。

 コロナ禍の間、今度は文庫版で読んだ。登場人物の大人の気持ちがわかってきた。「なんて深い漫画だろう」。昨年、作者のはるき悦巳の事務所から浪曲化の許可を得た。

 まずは有名な場面を優先し…

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