人手不足の度合いが強まっている。企業は働き手を確保するために賃上げし、原資として商品やサービス価格の引き上げに動いている。日本銀行は、この流れが進めば賃金と物価がともに上がる「好循環」につながるとみるが、現場からは悲鳴も上がる。人手不足は何をもたらすのか。

 「もっと人手があれば効率的な運営ができるのに」。千葉県成田市の運送会社「あかうみ」の赤海章義社長(54)は嘆く。

運送会社「あかうみ」の赤海章義社長。「トラック運転手は50~60代が中心で、10年後が心配」と話す=2025年3月24日、千葉県成田市、神山純一撮影

 従業員は約150人で、保有するトラック約100台の1割が稼働できていない。主な原因は運転手の不足で、ここ数年は求人を出しても応募がほぼない。社員の紹介や運転手の雇用を70歳まで延長してやり繰りしている。

 退職を防ごうと、昨年は運転手の賃金を3~5%引き上げた。原資としてトラックで荷物を運ぶ価格を上げることにしたが、引き上げ率は目標の8%に対して6%程度にとどまる。赤海社長は取引先に「賃上げで人材確保ができないと取引の継続が難しい」と訴えている。

「強気」に出る日銀

 物価高と人手不足が進む中…

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