来春の就職をめざす高校生の、企業などへの応募が9月に始まる。人手不足の中で高卒の就職状況はかつてない「売り手市場」。合同説明会や就職情報サイトも活況で、応募は1人1社とするこれまでの慣行に変化も生まれている。

就職を希望する高校生のための企業による合同説明会=2024年7月17日、大阪市北区、浅倉拓也撮影

 「食品の仕事に興味ない?」「ぜひ話を聞いていって」

 7月中旬、大阪市内で開かれた高校生向け合同企業説明会はにぎわった。建設や飲食など80社がブースを並べ、行き交う生徒に担当者が声をかけていた。

 厚生労働省によると、今年3月末の高卒者の求人倍率は過去最高の3.98倍。企業は不足する人手を確保しようと必死だ。

過去10年間の高校新卒者の求人倍率

 ある飲食店チェーンは数年前に大卒との給料差をなくしたという。「入社お祝い金50万円」「髪色自由」などをアピールする企業もあった。昨年から高卒採用を始めたという食材卸会社の人事担当者は「高校生は業種にこだわらず、何にでも興味があるイメージ」と期待を寄せた。

 合同説明会を主催した就職支援会社「ジンジブ」(大阪市)によると、参加企業の4分の1は昨年以降に新たに高卒採用に乗りだした企業という。

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 ジンジブの高校生向け就職情報サイトに求人を掲載する企業は、2017年卒向けの138社から24年卒向けは1800社超に増えた。

 ただ、こうして高卒採用に向ける企業の視線が熱を帯びるいまも、高校生の就職活動の主流は「学校あっせん」だ。

1人1社制を変えるも、結果は……

 毎年7月1日に求人情報が解禁されると、生徒は学校に届いた求人票の中から、9月までに応募する会社を決める。この間の説明会や職場見学では、企業は生徒の名前を聞くなどの採用につながる行為は一切できない。

 高卒採用に関するルールは各都道府県ごとに決められているが、多くの自治体では応募できるのは1人1社。9月中に内定を得られなかった生徒のみ、10月から複数企業に応募できるとしている。

高校生の就職活動の仕組み

 こうしたなか、一部でルールの見直しも進む。

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