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文部科学省

 文部科学省は、条件を満たした地方大学が、他大学と連携して授業科目をつくったり、上限単位数を上回るオンライン授業ができたりする特例をつくる方針を固めた。少子化でも、複数の大学が互いの強みを生かすなどし、質の高い高等教育の機会を地方に確保する狙いがある。今年度中の関連法令の改正をめざす。

 対象は、他大学と連携し、地域の支援を受け、人材育成の点で高い必要性を国が認める大学など。

 特例の内容は、他大学と連携した科目が開設可能▽オンライン授業の上限単位数の緩和▽学外教員が基幹教員になる要件の緩和――などを想定する。

 また、地域で活躍する人材育成につなげるため、都市部の大学と地方の大学・自治体間の連携を促す。例えば、街の活性化といった地域課題をテーマにした内容など、連携が進む教育プログラムを作ったり提供したりする大学に人件費助成などを検討する。

 地方大学は今後、学生の確保が一層難しくなるとみられる。文科省の推計では、定員に対する入学者数の割合を示す入学定員充足率は、2040年には全国平均で約72%になる。大都市圏は大半が70%台だが、50%台となる地方もある。

 中央教育審議会(文科相の諮問機関)は2月にまとめた大学の将来像に関する答申で、各地に質の高い高等教育機関を確保する必要性を指摘。地方大学への支援や、大都市圏の大学による地方への配慮などの取り組みが必要だとしていた。

 文科省の地方の大学振興に関する有識者会議でも、各地で学生が希望分野を学べない状況を生まないために「設置者を超えた連携が必要」などの意見が出た。

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