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指揮者の横地裕子さん(左)と代表の千葉綾子さんが手にするのは、中原中也の詩の世界をイメージした絵。メンバーの一人が描いたこの絵が、団員の心を一つにしたという=2024年8月14日午後、一関市大町のなのはなプラザ、長谷文撮影
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 【岩手】札幌市で8月24、25日に開かれる第47回全日本おかあさんコーラス全国大会(全日本合唱連盟、朝日新聞社主催、キユーピー協賛)に、東北支部代表として、県内から一関女声合唱団が参加する。結成30年目にして、初めての全国大会出場に、団員たちは心を躍らせている。

 指揮者の横地裕子(やすこ)さん(77)は結成当時のメンバーだ。合唱技術を磨こうと活動を続けてきた。全国大会への出場は、「人生をかけて(合唱を)やってきたから、最高にうれしい」と話す。

 披露する曲は、中原中也作詩の「北の海」、詩画作家の故・星野富弘さん作詩の「悲しみの意味」。2曲は陰と陽のイメージで、正反対の曲調だ。横地さんは、一つひとつの言葉に感情をこめて表現するよう指導する。

 「きれいに歌えても、人の気持ちを揺さぶるまでには到達していない」。詩の世界の表現を模索することに余念が無い。

 音楽教師や専業主婦ら15人の団員が所属する。60代が中心で平日の週1回2時間程度、一関市内で練習を続ける。

 40代で夫を亡くし、3人の子どもを育て上げた女性、父親を亡くした女性……。団員が歩んできた道は様々だ。ソプラノの菅原科子(しなこ)さんは、「人生の『味』で勝負したい」と語る。

 歴史を重ねてきた合唱団として、全国大会は、元団員の思いを背負っての出場にもなる。代表の千葉綾子さん(66)は「元団員から祝福され、これまでの活動の積み重ねで今があることを実感し、責任も感じる。満足できる演奏ができるよう頑張りたい」と話した。

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