イスラエル軍が8日、パレスチナ自治区ガザ中部ヌセイラトでイスラム組織ハマスに拘束されていた人質4人を救出した軍事作戦に関連し、多数の民間人が犠牲になりました。ガザ保健省は9日、死者は274人と発表。一方、ロイター通信などによると、軍は「100人以下」としています。両者の主張に開きがあるとはいえ、多大な犠牲を出した今回の作戦は国際法上どう捉えられるのでしょうか。早稲田大学法学学術院の萬歳(ばんざい)寛之教授(国際法)に聞きました。
- 「いびつな犠牲者意識」で共鳴するイスラエルと米国 どうなるガザ
――イスラエル軍の作戦に伴って多くの犠牲者が出たとみられます。どう見ますか。
子どもや女性を含め多数が死傷したと報道されています。4人の人質を救出する一方、ガザの住民らに100人、200人規模の犠牲者を出したとも報じられるイスラエル軍の作戦は、明らかに達成した目的と生じさせてしまった結果の間に強い不均衡があります。いかに人質の救出という正当な目的を持っていても、何をしてもいいというわけではない。
今回の作戦でイスラエル軍がどんな武器を使ったのか、どんな目標に向かって攻撃をしたのか、詳細は不明ですが、少なくとも作戦がもたらした悲惨な結果を見ると、武力攻撃の烈度が極めて高い。正当な目的があっても、実現するためにとった手段の烈度が高すぎるので、均衡性を欠いた攻撃になっていると判断できると思います。
「仕方がない」とはならない
人質1人の救出に対してどれ…