山口県長門市立向陽小学校(松本清和校長)で21日、人間国宝、福島善三さん(64)を招いた陶芸の授業があった。児童たちは福島さんや萩焼の作家の指導を受けながら、萩焼の土を手びねりし、思い思いのかたちに整えていった。
校区に萩焼の長門深川窯がある向陽小では、毎年、地元の作家の指導を受けて、全校児童が陶芸に取り組んでいる。校内にはPTAが中心となって1988年につくった窯があり、児童の作品が乾燥したら、教師が窯で素焼きし、さらに釉薬(ゆうやく)をかけ本焼きして完成させる。
今回は日本工芸会が取り組んでいる出張授業として実施することになり、小石原焼の重要無形文化財保持者(人間国宝)の福島さんが参加。萩焼の新庄貞嗣さん(73)ら地元の作家とともに、37人の児童の机を回りながら、「上手上手」「あんまり水をつけすぎないほうがいいよ」などと声をかけて指導した。
福島さんは取材に「焼き物は失敗するんです。でも、失敗はマイナスではなく、成功への道しるべ。同じ失敗をしないことを頭に入れて、前に進んでほしい」と話した。
5年の山口瑚幸(こゆき)さん(10)は、帽子をかぶり、服を着たネコとペンギンの人形をつくった。「いままではコップとかお皿をつくっていたけど、いままで以上にいい作品ができた」と喜んでいた。(松下秀雄)