グラフィック・米澤章憲 「時をよむ」 論説委員室から 「休戦の祝宴を張り皆々酔うて寝に就きぬ」 80年前のきょう、作家永井荷風は疎開先でこう記した。 彼の日記「断腸亭日乗」は第1次世界大戦終盤の1917(大正6)年に始まり、59(昭和34)年に亡くなる直前まで続く。二つの大戦にはさまれた戦間期の記述をたどると、軍国主義の生活への浸潤は日中戦争に突入した37年以降、特に加速したさまが浮かぶ。 一方で、その芽はずっと前か…