(27日、プロ野球 福岡ソフトバンクホークス3―1東北楽天ゴールデンイーグルス)
前進守備から猛チャージをかける三塁手の重圧をものともしなかった。ソフトバンクの今宮が四回無死一塁からバットを寝かせ、白球を巧みに捕前へ転がす。プロ野球史上4人目となる通算400犠打。続く柳町の左前適時打で2点目が入り、「得点につながって良かった」。
ひざをうまく使い、打球の勢いをそぐ腕前は一級品。今月19日に1軍に復帰した際は西武・平野、巨人・川相、ヤクルト・宮本(所属はいずれも達成時)に次ぐ4人目の大台に向け「もっと早く達成しておきたかった。失敗も多かったので」と本音を語っていた。
打ちたい思いは脇に置き、アウトと引き換えに走者を進める。派手な役回りではない。それでも、強肩堅守でならしてきた今宮にとっては、強打者が居並ぶチームで遊撃手の座を守るための武器だった。「最初はできなかったが、2軍からしっかり練習して、3年目に初バントした時にきれいに決まった時から始まった。一つの成功から、ここまできた」
「犠打を積み重ねていくことはプロとして活躍し続けることとイコール。チーム内の競争に負けないようにする」
そうやってプロ16年目を迎えた身長172センチの34歳は自己犠牲を貫く。「やることはいろんなところで犠牲になること。一途にやっていきたい」
これまで大台に乗せた3人の名手と比べて、今宮は唯一、通算本塁打数が100本台と長打力も併せ持つ。ただのつなぎ役では終わらない。これまでの「バント職人」とはひと味違う選手像を作りあげた。
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▼今宮(ソ)が400犠打 27日の楽天19回戦の四回、古謝から記録。中日・川相の533個、ロッテ・平野の451個、ヤクルト・宮本の408個(いずれも最終所属)に次いでプロ野球史上4人目。初犠打は2012年4月29日のロッテ5回戦(QVC)。
小久保監督(ソ) 大台到達の今宮について「400個バントして、本塁打100本打つ選手はなかなか出てこない。プロ野球界に名を残した」。
柳町(ソ) 四回、今宮の犠打の後に適時打。「400個目の犠打でつないでくれて、その節目の記録を自分がいかすんだと気合が入りました」
ソフトバンクが連敗を4で止めた。四回に柳町の適時打とスクイズでリードを広げた。5回無失点の大津が3勝目。楽天は決定打を欠いた。