(5日、第107回全国高校野球選手権三重大会 津商8―0鈴鹿=7回コールド)
「コールドさえ逃れれば、終盤に追いつける」
そう願ったが届かなかった。七回、バットを手に次打者席で待つ鈴鹿のエース高山航太朗投手(3年)の前で、最後の打者が三振に倒れ、先輩に誓った「今年こそ甲子園」の夢がついえた。
昨夏の三重大会決勝、高山投手は、指を痛めた先輩エースの今村颯(はやと)投手にかわって先発。敗れはしたが、優勝した菰野を六回まで2失点に抑える好投を見せた。「優勝するにはもっと球威を」と筋力トレーニングに励み、1年で体重は6キロ増えて78キロに。この夏の初戦を前に、今村さんから「気持ちで負けるなよ」とLINEで激励された。
一回、津商の先頭打者に初球を内野安打されて波に乗れず、4安打を浴び2点を先取された。二回は立ち直ったが、三回には3長短打と自らの失策も絡み、5失点。四回から左翼手に退いた。
「津商が一回から振ってくることは、わかっていた。慎重になりすぎ、投球パターンを修正できなかった」と高山投手。「昨夏は先輩捕手の要求通りに投げ、先輩野手が守ってくれた。今年は自分で投球を組み立てるのが難しかった」と悔やんだ。
1年前、三重大会で最も長い夏を経験した準優勝チームの短すぎた夏。中江孝志監督は「自分で何とかしなければと、高山が背負い込んでしまった。相手の集中力が上だった」と振り返った。