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やぶ医者大賞
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 全国からの応募の中から「やぶ医者大賞」を決める審査会が開かれた。今年で11回を数え、大賞には島根県浜田市の佐藤優子さん(44)と、山口市の中嶋裕さん(47)の両医師が選ばれた。

 現在では、下手な医者のことを「藪(やぶ)医者」という。だが、この大賞は不名誉なものではない。

 その語源が、江戸時代に活躍したとされる「養父(やぶ)にいた名医」であることにちなみ、兵庫県養父市が大賞を2014年に創設した。

 なぜ、下手な医者の代名詞となったかというと、「自分は養父の名医の弟子だ」と評判を悪用する医者が続出したからとされている。

 審査会は22日、市役所で開かれた。大賞は、若手医師の育成や医療過疎地域の医師確保、地域医療の発展に寄与することを目的に、過疎地の病院、診療所に5年以上勤務する50歳以下の医師、歯科医師から選ぶ。今年は全国から9人の応募があった。

 佐藤さんは、浜田市国民健康保険波佐(はざ)診療所長として、地域の健康課題である「アルコール」「脳卒中」の予防をテーマに、関係機関や医学生を巻き込んで啓蒙(けいもう)活動を実施している。医師を目指す中高生を診療所に招いたり、小学校で地域医療の講義をしたりと、後進の育成にも尽力していることなどが評価された。

 中嶋さんは、山口市徳地診療所長として無医地区の三谷地区で月2回、オンライン診療システムや医療機器を搭載した自動車「医療MaaS」による遠隔診療を導入。みとりを支援し、住み慣れた地域で最期まで安心して暮らし続けるという住民の望みをかなえ、身近な診療所として献身的に活動していることなどが評価された。

 審査会後、会見した審査委員長の正垣(しょうがき)一博・養父市医師会長は「応募された方々は各地域で高いレベルの医療や健康づくり、後継育成、地域課題に対応する取り組みなど、素晴らしい活躍をされており、甲乙つけがたかった」と話した。

 表彰式は、11月16日に養父市内の市立ビバホールである。(菱山出)

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