高専出身の起業家を年々生み出すコンテストがある。

 実行委員長は、AI(人工知能)研究の第一人者。生活の困りごとを解決するアイデアが、支援金を得て、次々と独自のビジネスにつながっている。

 全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト(DCON)だ。ものづくりの技術や、AI技術の一種「ディープラーニング(深層学習)」を用いた作品の事業性を競う。

 6回目だった今年は、各地の42高専から95チームがエントリーし、勝ち抜いた10チームが5月の本選に進んだ。

企業評価額7億円で最優秀賞に輝き、トロフィーを手にする岡田一輝さん(前列中央)=2025年5月10日、東京都渋谷区、前田伸也撮影

 審査員は、実際に起業家らに資金提供し、支援しているベンチャーキャピタリストたち。学生のプレゼンテーションを見て、「企業評価額」をつける。最優秀チームには100万円の起業資金が出る。

 主催は、AI開発企業や研究者らでつくる一般社団法人・日本ディープラーニング協会など。これまでに、DCON参加チームから11社が起業した。多くは在学中だった。

130万円元手に水道管の漏水判断システム

 その一人、東京科学大大学院2年の道上竣介さん(25)は、2022年のDCONで3位になった。当時は佐世保高専(長崎県)に在学中。起業資金30万円とDCONからの支援金100万円を元手に起業した。

 企業評価額「10億円」と値…

共有
Exit mobile version