埼玉高速鉄道(SR)の延伸について、さいたま市の清水勇人市長が8日、埼玉県庁を訪れ、大野元裕知事と意見交換した。清水市長は意見交換後に取材に応じ、今年度中に県と市の連名でSRに事業化要請を行うことを明らかにした。大野知事は「全力で支援、連携していきたい」と述べた。
SR延伸計画は、現在の終点の浦和美園駅(同市緑区)から東武野田線岩槻駅(同市岩槻区)までの約7・2キロをつなぐというもの。
市は昨年1月、建設費高騰などにより、整備費用に対する効果の比率(費用便益比)が1.0を超えるのが難しいなどとして、事業化要請を当面見送るとしていたが、今年に入り、方針を変更。工期の短縮や、沿線地域の人口推計で鉄道利用率の高い若い世代の人口が伸びると見込まれることなどから「費用便益比が1.0を超える見通しになった」とし、2025年度中に「速達性向上事業に関する計画」の素案作成を目指す方針を発表した。
2月には大野知事と清水市長がそろって国土交通省を訪れ、早期の延伸事業化などを求めた。県とさいたま市などでつくる連携会議も設置し、計画の素案作成に向け、3月に初会合を開いた。
清水市長は8日、区間の中間駅周辺の街づくりについて議論する有識者会議を今夏までに立ち上げることも明らかにした。大野知事は「延伸に向け、中間駅の街づくりが極めて重要になる。市単独でやるにも限度があり、県と市で連携して議論を進めていきたい」と述べた。