大阪府守口市で今年度の一般会計当初予算案が成立しない事態が続いている。
市は30日、6月までの3カ月間と同じ「暫定」となる7~9月分の補正予算案を市議会に提出し、可決された。ただ、議会側は補助金の不適正な支給の問題について「公正な調査体制」ができるまでは当初予算案の審議を進めないとしており、予算の未成立は市民生活にも影響を与えている。
「暫定予算が継続とならざるを得ないことは苦渋の決断だ」。この日の議会では、市議らのそんな意見が出された後、7~9月の義務的経費などを盛り込んだ暫定補正予算が成立した。一方、4回目となる6月13日までの会期延長も決定。前年度に2025年度当初予算を成立させて閉会するはずだった2月定例会が、まだ続くことになった。
問題となっているのは、今年度当初予算案(794億円)に含まれていた「スポーツ関係団体補助金」(132万円)。市スポーツ協会に加盟する約20の競技団体に1団体6万円まで補助する内容だ。
3月に、この補助金の不適切な支給があった疑惑が浮上。議会は調査を求め、市は4月に団体への聞き取りなどをした。
その聞き取りの報告書によると、23年度までの5年間、競技団体が協会に支払う個人登録料の合計額と同額が、協会から補助金として団体に支払われる運用となっていた。だが、11団体がこの「実質的に負担のない経費」分も含む額を補助金の対象額として申請し、市は適切な審査をせず補助額を決めていたという。
市は報告書で「大いに反省すべき」とし、当初予算案からこの補助金を省いた修正案を準備している。瀬野憲一市長は「一刻も早く当初予算案の審議を進めてほしい」としているが、議会側は調査が不十分だとし、「公正な調査体制」ができるまでは修正案の審議にも応じない構えだ。
暫定予算には新規事業が含まれておらず、新生児の聴覚検査や産婦の健康診査の助成などが実行されないままだ。物価高対策のために7月に市内の全世帯に4千円分の商品券を配る事業も、実現されるかが不透明になっている。