愛媛県今治市と西条市にまたがる大規模な山林火災について、今治市の徳永繁樹市長は31日、延焼のおそれがなくなった状態とする「鎮圧」を宣言した。上空と地上から火災現場の熱源などを調べた結果を踏まえた。
火災は23日午後4時ごろ、今治市長沢の山林で発生した。焼失面積は約442ヘクタール(今治市423ヘクタール、西条市19ヘクタール)で、県の山林火災としては100ヘクタール以上の火災について統計をまとめ始めた1989年以降最大。4日後の27日夕から28日未明にかけて初めてまとまった雨が降り、徳永市長は28日夕、延焼を食い止めることができているとして「延焼阻止宣言」を出していた。29、30日に熱源監視と消火活動を続けていた。
県の31日のまとめでは、この火災による建物被害は22棟。今治市で住宅5棟、空き家6棟、倉庫など10棟が全焼したほか、西条市で寺院1棟の一部が焼けた。今治市の被害は、いずれも山林から離れた場所で、強風によって火の粉が飛び散る「飛び火」で炎上したとみられる。人的被害は、消火活動にあたった消防団員3人がけが。
今治市の建物被害はいずれも山林から離れた場所で発生し、強風によって火の粉が飛び散る「飛び火」で炎上したとみられる。徳永市長は山の手入れの状況や初動の消火活動などを検証する考えを示した。
中村時広知事は31日開かれた県災害対策本部会議で「乾燥の時期に火を取り扱う場合、風の予報にもよくよく注意していくことが大事。そのことをどう周知していくかが最大の課題だ」と述べた。
今治市は31日午前11時に、残る計333世帯611人を対象に出していた避難指示を解除した。
火災発生後、愛媛県の要請で、自衛隊のヘリコプターや8府県の緊急消防援助隊が活動。消防隊員や消防団員延べ6681人(31日時点)が消火活動にあたった。