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リクルートワークス研究所の古屋星斗さん(右)の質問に答える飛驒市の都竹淳也市長=2024年12月11日、岐阜県飛驒市、石松恒撮影

■A-stories 8がけ社会 消滅の先へ(6)

 今まさに超高齢化と働き手不足の厳しさに直面する地方は「課題解決のヒントを模索するフロンティア」である。そう語るリクルートワークス研究所の古屋星斗主任研究員が「打てる手を全て打っている」と注目するのが、岐阜県飛驒市(人口2万1千人)だ。古屋氏による都竹(つづく)淳也市長のヒアリングに同行し、地方で先行する人口減少社会との向き合い方を聞いた。

 2004年に県最北端の古川町、神岡町、河合村、宮川村が合併してできた飛驒市が、過酷な現実に直面したのは16年ごろだった。

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 最奥の旧神岡町にある特別養護老人ホームが夜勤のシフトを組めず、市内でもとりわけ進む高齢化に対応するために増やした20床が使えない状況が続いていた。

 市はまず、当時異例とされた市による夜勤手当の補助(時給に100円上乗せ)を出し、職員の離職防止を図った。だが、離職を食い止めるだけでは問題は解決しない。夜勤を安定的に続けるには、若手人材を継続的に確保する必要がある。だからといって、介護福祉士を育成する専門学校を市内に誘致したり建設したりする余裕はない。

 目を付けたのが、市から約150キロ離れた岐阜県池田町にある、サンビレッジ国際医療福祉専門学校との「飛び地」連携だった。

 ヒアリングで古屋氏は、都竹市長に経緯を尋ねた。

連載「8がけ社会 消滅の先へ」

 地方の「消滅」危機が唱えられて10年以上が経ちました。日本の人口はさらに縮小し、並行して現役世代が2割減る「8がけ社会」へと向かいます。すべての自治体が今のまま続くとは考えにくい。だからこそ「消滅の先」を描こうとする各地の取り組みから、地方の未来を考えます。

 都竹市長「専門学校と提携し…

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