増えるビジネスケアラー②

働きながら介護する「ビジネスケアラー」が増えるなか、仕事と介護の両立の重要性が高まっています。現状と対応策を報告します。(全3回)

 半導体メーカー「エイブリック」(東京)で役員を務める長野典史さんは4年ほど前、ある危機感を覚えた。

 担当部門に約80人の部下がいたが、約1年間のうちに10人ほどが親の介護などで、定期的に休暇をとる必要が出た。

 多くは40~50代のベテラン社員だ。社外と協力して進めるプロジェクトでも、中心となる社員が介護で休まざるをえず、進捗(しんちょく)に影響が出ることもあった。介護との両立のために、離職する人も出ていた。

 エイブリックはアナログ半導体の開発・製造が主力で、経験を積んだ熟年の技術者が多い。正社員約800人の平均年齢は46歳と高めだ。

 2022年11月に正社員を対象にアンケートをしたところ、12%が「現在、親の介護をしている」、65%が「将来的に親の介護のために、離職を考えている」と答えた。

 3分の2が離職を考えている――。長野さんはこの結果に衝撃を受けた。「初めて状況が可視化された。両立に向けた支援をしないと人材面で経営問題に直結する。まずいな」と感じた。

■NPOと契約、実務代行も…

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