フランスのバイル内閣が9日、総辞職した。度重なる首相の交代で、任命したマクロン大統領の求心力のさらなる低下は不可避の情勢だ。欧州を主導するフランスの政治の混乱は安全保障や財政再建など、多岐に影響を及ぼす恐れがある。
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国民議会(下院)が8日、バイル首相の信任投票を否決した。信任投票前の演説でバイル氏は「若者たちは20年、30年、あるいはそれ以上の間、先人たちの負債を背負わないといけない」と強調し、財政再建の必要性を訴えた。信任投票では、深刻化する財政赤字を改善させるための歳出削減計画の是非を問うた。
しかし、政府が示した財政再建案には、二つの祝日を廃止して経済活動を下支えすることや失業手当の支給資格の厳格化が含まれ、国民から強い反発が上がっていた。
野党側は勢いづいている。極右の流れをくみ、昨年の総選挙で躍進した右翼政党「国民連合(RN)」を実質的に率いるルペン氏は8日、「議会の解散は選択肢ではなく義務だ」と述べ、解散・総選挙を要求した。
バイル氏は国民や議会を最後…