フランスの右翼政党「国民連合(RN)」が欧州議会から議員秘書の給与を不正受給したとされる事件で、パリの裁判所は31日、公金横領の罪に問われたマリーヌ・ルペン前党首(56)に有罪判決を下した。仏メディアが伝えた。5年間の被選挙権停止を直ちに適用すると決め、2年後の次期仏大統領選のルペン氏の出馬が難しくなった。
公判では、ルペン氏のほかRNの関係者24人とRNの前身の「国民戦線(FN)」が2004~16年にかけて、欧州議会から同議会議員の公設秘書向けに受け取った計450万ユーロ(約7億3千万円)の給与を党の活動資金に流用したとして、公金横領の罪に問われた。
ルペン氏は無罪を主張したが、AFP通信によると、裁判所はルペン氏について組織的に公金を横領するシステムの中心にいたと認定。禁錮4年と罰金10万ユーロに加え、被選挙権を5年間停止する処分を言い渡した。
ルペン氏に対する被選挙権の停止は直ちに適用される。控訴審で今回の決定が覆らない限り、今後5年間はいずれの選挙にも立候補できなくなる。RNは昨夏の下院選で、単独政党として最大勢力となる約120議席を獲得。ルペン氏は27年春に予定される次期大統領選の最有力候補とされてきたが、今回の判決で立候補は困難になった。
判決後には、ハンガリーのオルバン首相が「私はマリーヌ」とX(旧ツイッター)で投稿。欧州の右翼がルペン氏に連帯する動きが広がっている。