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左から「カクワカ広島」の田中美穂さんと瀬戸麻由さん=2025年3月28日午後8時38分、広島市中区土橋町のソーシャルブックカフェ「ハチドリ舎」、興野優平撮影

 3月3~7日に米ニューヨークの国連本部であった核兵器禁止条約の第3回締約国会議に合わせて広島から渡米した「核政策を知りたい広島若者有権者の会」(カクワカ広島)の2人による報告会が28日、広島市内であった。核兵器を持つことで相手の攻撃を思いとどまらせる「核抑止」にどう抗うか、が最大のテーマだったと振り返った。

 渡米したのは田中美穂さん(30)と瀬戸麻由さん(33)。広島市中区のソーシャルブックカフェ「ハチドリ舎」で報告会を開いた。

 会期中、フランスのマクロン大統領が自国の核抑止力を欧州全体に広げると発言したと報じられ、かつてフランスが核実験を繰り返した仏領ポリネシアのヒナメラ・モーガント・クロス議員(36)が怒りをあらわにした場面があった。その場に立ち会った田中さんは「(マクロン氏は)私たちが集まっていることすらも知らないのだろうと感じた。締約国会議への牽制でもなかったと思う。(認識の)ギャップを感じた出来事だった」と振り返った。「核実験がこれだけの人や環境を痛めつけてきたことを核保有国に突きつけないといけないと思った」とも述べた。ヒナメラさんについて瀬戸さんは「彼女は核被害のある地域の人として、自分の健康不安や子どもへの影響など様々に葛藤しながら活動していると思う」と説明した。「国際会議や大国同士のやりとりの中で、『核被害』だけでは表しきれない葛藤や苦しさが出てくるプロセスにも注目したいと思った」とも語った。

 また、尊厳をおかすことなく核被害者を取材・研究するための道徳的な行動規範についてサイドイベントで議論されていたと報告。「核被害者にどう向き合っていくかを広島から問い直していきたい」と話した。

 報告会に参加したカクワカの高橋悠太さん(24)も会議をオンライン視聴した。「議論が新しいフェーズに来た。『核兵器のない世界がみんなにとって幸せだ』という公共の利益の問題になった」。オーストリア・ウィーンであった3年前の第1回締約国会議では「規範」で「あるべき姿」とされた「核兵器のない世界」だが、会議を重ねるうちに核実験の被害者らの声が集まり、「核兵器を持っていない国も核の被害者になる」との認識が生まれてきたと指摘した。

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