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ニデック創業者の永守重信氏(左)とミネベアミツミ会長CEOの貝沼由久氏

 相手企業の同意を得ずに買収を仕掛ける「同意なき買収」が国内でも活発化している。今年は東西の「買収巧者」として知られるモーター大手ニデック(京都市)と電子部品大手ミネベアミツミ(長野県御代田町)が関わる案件が連続し、耳目を集めた。そこから見えてくる教訓とは。

永守氏「日本は海外に比べて20年は遅れている」

 昨年末、仕事納めの12月27日。ニデックは、工作機械大手の牧野フライス製作所を買収する意向を公表した。事前の合意どころか交渉すらなく、牧野側は当日の朝、宮崎正太郎社長に直接かかってきたニデック役員からの電話で知った。

 4月4日に始まる株式公開買い付け(TOB)までは約3カ月。「『同意なき買収』というだけで提案を門前払いするな」というのが、近年の政府の方針だ。牧野フライスは「検討の時間が足りない」としてTOBを開始するのを待つように頼んだ。

 だが、ニデックは一切耳を貸さない。価格競争を嫌う同社は、最初から買い取り価格を直近の株価より約4割も高い1株1万1千円に設定。牧野側がホワイトナイト(友好的な買収者)を探すハードルを上げたうえでスピード決着させる作戦だった。

 ただ、工作機械は「独立心が強い経営者が多い」(関係者)とされる業界。顧客にニデックのライバルメーカーも多い牧野フライスには「買収されると取引先を失う」との意識もあった。

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牧野フライス製作所の工作機械

 牧野側は複数の投資ファンドに接触し、3月に「複数のホワイトナイト候補が現れた」と発表。最終的な買収提案がくるまでにやはり約1カ月のTOB延期が必要だとして、時間稼ぎを目的とする対抗措置を発動した。延期がない場合、新株予約権の発行で買収を難しくする措置だ。ニデックは差し止めを求める仮処分を申請し、判断は司法に委ねられた。

 東京地裁が5月7日に下した…

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