(14日、第107回全国高校野球選手権大会2回戦 仙台育英―開星)
3年前に東北勢で初めて深紅の大優勝旗を持ち帰った仙台育英は、2回戦で島根代表の開星と対戦する。
宮城大会は5試合で31得点、3失点。ワンチャンスで確実に得点し、2失策の堅い守りで勝ち上がった。
チームの結束が強まったのは、宮城大会の開幕直前に須江航監督が流した涙だった。
7月5日。4日後に宮城大会の開幕を控えた仙台育英のグラウンドで、チームは走塁練習をしていた。
エースの吉川陽大(3年)が緩慢なプレーをした。須江監督が注意すると、吉川はふてくされた態度をとった。
須江監督は練習を止め、言った。
「昨年の悔しさを忘れたのか」
昨年の宮城大会決勝、聖和学園に5―8で敗退。甲子園出場を逃した。
「このワンプレーで負けてしまう。昨年は、油断も隙もみじんもなかったのに負けた。みんなでまた泣くのを繰り返したくないから、今やらなきゃだめだ」
気がつけば、須江監督の目には涙があふれていた。
「昨年の悔しさを思い出したら、涙が出てきた。部員の前で泣いたのは(3年前の)甲子園優勝の時以来かもしれないですね」
選手も泣いていた。
めざすのは「幸福度の高いチーム」
監督が伝えたかったことは、二つある。
一つは「勝敗は細部に宿る」…