仙台育英の須江航監督=2023年、阪神甲子園球場
  • 写真・図版

(14日、第107回全国高校野球選手権大会2回戦 仙台育英―開星)

 3年前に東北勢で初めて深紅の大優勝旗を持ち帰った仙台育英は、2回戦で島根代表の開星と対戦する。

 宮城大会は5試合で31得点、3失点。ワンチャンスで確実に得点し、2失策の堅い守りで勝ち上がった。

 チームの結束が強まったのは、宮城大会の開幕直前に須江航監督が流した涙だった。

 7月5日。4日後に宮城大会の開幕を控えた仙台育英のグラウンドで、チームは走塁練習をしていた。

 エースの吉川陽大(3年)が緩慢なプレーをした。須江監督が注意すると、吉川はふてくされた態度をとった。

 須江監督は練習を止め、言った。

 「昨年の悔しさを忘れたのか」

 昨年の宮城大会決勝、聖和学園に5―8で敗退。甲子園出場を逃した。

 「このワンプレーで負けてしまう。昨年は、油断も隙もみじんもなかったのに負けた。みんなでまた泣くのを繰り返したくないから、今やらなきゃだめだ」

 気がつけば、須江監督の目には涙があふれていた。

 「昨年の悔しさを思い出したら、涙が出てきた。部員の前で泣いたのは(3年前の)甲子園優勝の時以来かもしれないですね」

 選手も泣いていた。

めざすのは「幸福度の高いチーム」

 監督が伝えたかったことは、二つある。

 一つは「勝敗は細部に宿る」…

共有
Exit mobile version