第72回春季東北地区高校野球大会は13日、山形県中山町のヤマリョースタジアム山形で準決勝があり、仙台育英（宮城1位）は昨秋の東北大会覇者・聖光学院（福島1位）を3―0で破った。決勝は14日、同球場で八戸学院光星（青森2位）と対戦する。
仙台育英の土屋璃空選手（3年）は、その時を待っていた。1―0で迎えた八回表、2死から4番打者・川尻結大選手（3年）が二塁打を放つと、代打へ。「自分が試合を決めてやる」と3球目の直球を左中間に運び、貴重な追加点を挙げた。
背番号7をつけるものの、佐々木義恭主将（3年）や田山纏（まとい）選手（2年）など好打者がそろう外野陣のスタメン争いは激しく、この日はベンチスタート。「もちろん全試合スタメンで出たいけど、代打ならチャンスで絶対打つ」と好機をうかがった。
中学までは長距離ヒッターとして活躍していたが、仙台育英に入学後、長打力では張り合えないと感じた。そこで参考にしたのが、2学年上の4番打者・斎藤陽（ひなた）選手（現・仙台大）だった。「小柄でも4番として安定した結果を残す。自分もこれを目指そう」と確実に安打につなげる対応力を高めてきた。その成果を1打席で発揮した。
仙台育英は昨秋の東北大会の準々決勝で聖光学院に敗退。今春の選抜大会出場を逃した。聖光学院が春8強に進出した姿に「あそこで勝っていればという悔しさがあった」と土屋選手。「借りを返す」という思いで臨んだ試合。15人出場の総力戦でリベンジを果たし、決勝に駒を進めた。
