(14日、第107回全国高校野球選手権大会2回戦 仙台育英―開星)
2年ぶりに夏の甲子園大会に出場している仙台育英は14日、開星との2回戦を迎える。
今夏の宮城大会決勝の終盤。相手との点差は開いていたが、ベンチからはこんな声が届いた。
「ここで1点取れるかどうかだぞ」「終盤の練習をしてきたぞ」
大会終了後、佐々木義恭主将(3年)に「終盤の練習って何ですか?」と聞いてみた。「七回からを想定した紅白戦のことで『終盤の鬼』と言われるメニューです」と教えてくれた。
甲子園では終盤の七回から、六回までとは違う球場の雰囲気になり、緊張感が高まる。その中で、自分の持っている能力を冷静に出せるように、3イニングだけの紅白戦をするという。相手は3年生でベンチ入りできなかった選手だ。
これは、須江航監督が2019年から取り入れた練習だという。
18年夏の甲子園で初戦敗退したときに「全国制覇への1000日計画」を立てた。その中で、強豪校のスコアを分析した。「七、八、九回のスコアだけを切り出して見てみると、終盤の3イニングの得点で勝っているんですよね」と須江監督は語る。
佐々木主将は「終盤になると、集中力が上がるのはチームの強み」と練習の成果を実感している。さらに「ベンチに入っていない3年生も、(終盤の鬼の練習は)ここが勝負だと思って、人生かけてぶつかってくれるからチーム力も上がる。育英ならではの良い練習だと思う」。
6日の鳥取城北との甲子園初戦では、五回を終えて5点をリードした。終盤は得点できなかったが、守りで集中力を切らさず、5―0で勝利した。