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青森山田―仙台育英 六回裏、仙台育英の一塁走者川尻が二盗を決める=2025年6月11日、米沢市営、八鍬耕造撮影
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(11日、春季東北地区高校野球大会準々決勝、仙台育英8―4青森山田)

 東北大会準々決勝としてはもったいない対戦だった。夏の甲子園大会で2022年優勝、23年準優勝の仙台育英。対するのは24年4強の青森山田だ。

 分岐点は1―1で迎えた六回裏の攻撃にあった。仙台育英の須江航監督は、選手たちを「アグレッシブに行くぞ」と鼓舞した。

 選手は早速、実行した。先頭の4番川尻結大(ゆいと)(3年)が安打で出ると、次打者の初球にいきなり二盗を仕掛けた。

 盗塁を積極的に試みるのは、仙台育英の持ち味だ。ただ、前の回に2番打者が二盗を失敗していた。

 六回の場合は、長距離打者の4番が初球から走ったことが相手投手に影響をもたらした。粘り強く投げていた青森山田のエース下山大昂(だいこう)(3年)は「4番が走ってくることは全く頭になかった。無死二塁とされて、焦ってしまった」。

 続く5番打者は二ゴロに仕留めたが、二塁走者の川尻は三塁へ。焦りは大きくなった。

 申告故意四球を挟み、中岡有飛(ありあす)(3年)、砂涼人(1年)の連続適時打で3点を勝ち越し、下山は降板した。

 仙台育英は3季連続で甲子園出場を逃している。須江監督は「うちは実績がない。甲子園出場を逃している間に、青森山田は全国上位に進出するチームになった」と語った。アグレッシブな攻めの背景に、挑戦者としての姿勢があった。

 そして青森山田戦を「決勝のつもりで戦った」とも言った。投手陣の制球が定まらないとみるや、三回途中からエースの吉川陽大(あきひろ)(3年)をつぎこんだ。

 快勝ではあるが、不満な点もある。七回に4点を加えて6点リードに広げただけに「あそこまでいったら、絶対にあと1点取ってコールド勝ちを決めないとだめだった」。

 1点の価値がより重くなる夏の宮城大会まであと1カ月を切った。仙台育英は、さらに精度を高めていく。

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